« 聖籠スポーツセンターです。 | Main | 底辺の育成・指導の現場に戻って来よう »

育成年代で「型にはめない」指導とは

 先日、ウィングの指導者が集まって、懇親会を開きました。その中で、少年団を兼務している指導者から思わず愚痴がこぼれました。
 3年生、4年生が主体となる大会の試合会場本部で、子どもたちのプレーを見て、「もっと早く蹴れ」「何をこねくり回して持っているんだ」「キーパーと1対1で何でシュートを打たないんだ」と、相変わらず、ボールを早く放すことばかり言って、子どもたちをぼやき、けなしている役員関係者がいることにがっかりしたのだそうです。
 確かにボールを放すことが必要なタイミングだったのかもしれません。それに、リズム良くパスが回るのはゲーム展開として気持ちの良いものです。しかし、そればかりを育成年代で要求していたら、間合いが詰まってしまった場合にうまくドリブルでかわすことが出来なくなってしまうでしょう。
 何でもかんでも「ワンタッチ」、「ボールは早く放してリズム良くパスを回す」ことばかり指導していたら、言わば「型にはめる」指導になってしまうことになりかねません。状況に応じて判断して、その都度最適のプレーを選択するように、そのために育成年代では何でもチャレンジすべきだと思うのです。
 むしろ対人プレッシャーを克服しながらボールを扱うようなトレーニングを求めていかなければ、年代が上がるにつれてより厳しいプレッシャーに晒されるプレーヤーにとって、シンプルにプレーするだけでは選手としての引き出しは増えてこないと思うのです。

 それを「ワンタッチプレー」がすべての正解かのように指導をしてしまっては、選手は自分で考える選手には育ちません。

 長野県の県民性か、年配者が一言言わなければ気が済まないような気質、年少者のミスを大らかに見守ることが出来ず、ミスを避けるために干渉してしまう気質、これが長野県サッカーの育成年代発展の大きな支障となっていることを、私は以前から感じていました。2年以上前のサッカーカンファレンス長野でも、同様の質問を日本協会の技術委員の方にしたことがありました。しかし、その方は県内出身者ではないため、そうした気質を感じたことの無い風土で育った方にとっては、全く思考の要素として入ることが無いのも仕方がありません。あっさり否定されてしまったことを覚えています。
 「ミスを避けるためにボールは早く放せ」これがまさに県民性の気質を背負った指導者が、金太郎飴のように必ず口にする指導の言葉です。この選手のチャレンジや判断を無視したかのような発言に、私は常に嫌気がしてなりません。

 そういえば、大リーグから野茂英雄が引退しました。彼も「型にはめた」指導を受けなかったために大成した選手です。イチローの振り子打法もしかりです。サッカーの世界にも選手自身の判断、チャレンジをさせなければ、良い選手は育たないでしょう。

 ガールズエイト大会の近くで、中学生の県大会が開催されていました。全県のベスト16のチームのサッカーとして期待して覗いたのに、選手の判断の見られないワンタッチプレー、つまり、ただ蹴って走るだけで、それが相手チームと自チームの間を、ミスをきっかけに頻繁に行き来するピンボールのようなサッカーでした。残念なことに、それが見ていた時間のほとんどで行われていたのです。アクセントになるような判断の瞬間的な切り替えも少なく、何でもかんでも見える選手に当てるだけのワンタッチプレー、というような意識かと思わせるゲームでした。そう思うと、全国に接する機会を得ている中学生年代のクラブチームと比較しても、中学の部活動のサッカーはずっと見ていようとは思えない、質の低さを感じてしまうサッカーで、長居をせずにその場を後にしてしまいました。

 松商対流経大柏の親善試合を見ることは出来ませんでしたが、流経大柏のワンタッチプレーが、どんなところでもボールが扱え、いろいろなキープが出来たり、様々な質のキックが出来たりという、技術の裏付けがあって出来ているのに対して、技術の積み上げも少ないままにワンタッチプレーだけを押し付けられてきた県内選手が、果たしてどれほど面白いパス回しが出来るのか、実は全く裏腹な成果に至っていることにもう一度気付いて欲しいと思います。
 やはり、「ボールも人も動くサッカー」が、技術的積み上げもなく、そのまま鵜呑みに実施されていることにより、型にはめることが好きで、子どもたちのミスを恐れる指導者の気質と相俟って、ここ長野県では一部の場面でサッカーの質に後退が見られるような気がしてなりません・・・。

|

« 聖籠スポーツセンターです。 | Main | 底辺の育成・指導の現場に戻って来よう »

サッカー」カテゴリの記事

スポーツ」カテゴリの記事

フットサル」カテゴリの記事

女子サッカー」カテゴリの記事

少年サッカー」カテゴリの記事

心と体」カテゴリの記事

教育」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70697/41961224

Listed below are links to weblogs that reference 育成年代で「型にはめない」指導とは:

» 静かなるターニングポイント [>>]
過去も現在も未来も、親の応援に育成を期待するのは無理なのだ。 むしろ子どもたちが克服しなければならない課題だと思ったほうがよいだろう。 現在の状況と比較できるように、2004年11月の自分のコラムを若干修正して載せる。 ピッチの中は、プレーヤーが練習でつけた自分の力を試す舞台であり、いわば聖域である。そこでプレーヤーが行うことは、成功も失敗も全て未来への財産となる。プレーヤー一人ひとりのドラマを見守り、良いプレーにはエールを・ミスには励ましを送りたい。指揮者である審判のジャッジも尊重した... [Read More]

Tracked on July 27, 2008 at 11:32 AM

« 聖籠スポーツセンターです。 | Main | 底辺の育成・指導の現場に戻って来よう »